恋時雨~恋、ときどき、涙~

お父さんはムッとして、健ちゃんを睨んだ。


「父さんって呼ぶな! 真央の夢は、父さんと結婚することなんだぞ! 健ちゃんにはやらん」


わたしはお父さんの背中を叩いた。


〈それは、昔の話でしょ!〉


「真央……」


時雨に打たれ、びしょびしょに濡れながら言い合うわたしたちに割って入ってきたのは、お母さんだった。


「あなたが健ちゃんに対抗してどうするの」


お母さんは怖い顔で、お父さんを小突いた。


「いい加減に子離れしてちょうだい。真央は18歳なのよ。キスくらいするわよ」


ね、真央、とお母さんが微笑んだ。


わたしは頷く。


「ほらほら、健ちゃんも寄って行って。びしょびしょじゃないの」


お母さんに背中を押されながら、わたしたちは家に入った。









着替えてリビングに行くと、お父さんのパジャマを着た健ちゃんと、お父さんがお酒を酌み交わしながらオセロをしていた。


白熱している。


わたしは、キッチンに立っていたお母さんの肩を叩いた。


〈仲良くしてる〉


笑いながらふたりを指差すと、お母さんも笑った。


「結局、お父さんは嬉しいのよ。真央を好きになってくれたのが、健ちゃんだから」