恋時雨~恋、ときどき、涙~

静奈に、後悔はして欲しくないと思った。


でも、静奈は頷いた。


「今さら、会えないでしょ」


〈そんなこと〉


「順也だって、足を奪ったような女に、会いたくないよ」


わたしが手話で訴える前に、健ちゃんが間に割って入ってきた。


「そんな事ねんけ」


でも、静奈は頑なに拒んだ。


「もういいよ。いい。順也、元気なんでしょ? それなら、いい」


静奈はバカだ、そう思った。


こんなにも順也を好きだと顔に書いておきながら、我慢する静奈が不敏でならなかった。


〈静奈?〉


わたしは静奈の顔を扇いだ。


〈順也、車椅子のバスケットボールチームで、頑張ってる〉


「そうなんだ」


静奈の目が生き生きして見える。


「かっこいいんだろうなあ……見てみたいな」


それは、紛れもなく恋をしている目だった。


〈今度、試合に出るんだよ。一緒に応援しに行こう〉


静奈は苦笑いをして、首を振った。


「私はもう、前みたいには戻れないから」


返す言葉が見つからなかった。


静奈がドアを開けた。


行ってしまう。