恋時雨~恋、ときどき、涙~

静奈の右手の薬指には、やっぱりあのリングが輝いていた。


わたしが首を傾げると、静奈が微かに微笑んだ。


「お金、貯めたいから、学校には行けない」


〈何に使うの?〉


「順也の足」


静奈は順也と別れた日、足が動くようになるための手術を片っ端から調べたらしい。


わたしは、溜め息しか出なかった。


〈そんなうまい話があるわけない。もう、治らない〉


わたしの手話を見て、静奈はするどい目付きをした。


その目を見て、わたしは確信した。


その確信には自信があった。


「治るって、ネットには書いてあった! 治る!」


無理に決まっている。


静奈は回りが見えていないのだ。


それくらい、順也への大好きが痛いほど伝わってくる。


わたしは、静奈の肩を揺すった。


〈治らないんだよ!〉


その時だ。


静奈が狂ったように泣き出してしまったのだ。


たぶん、相当ひどい声を上げて泣いたのだと思う。


ベッドに座っていた健ちゃんが目を丸くして、静奈を見つめていた。


わたしは、痩せた静奈の背中をさすった。


背骨が浮き出て痛々しいほど、静奈はがりがりに痩せていた。