恋時雨~恋、ときどき、涙~

口を僅かに動かして、雑誌に目を奪われていた。


〈健ちゃん〉


わたしは、健ちゃんの顔を扇いだ。


〈今日、クラスの子がこれ持って、わたしのとこに来た。この子が静奈だと言った〉


健ちゃんは、わたしが予想した通りの反応をした。


頷いて「そうだと思う」と悲しい顔をした。


「このリング。順也と同じデザインだんけ」


やっぱり。


健ちゃんの口から「違う」とか「静奈じゃないと思う」という、否定的な言葉は出てこなかった。


「順也には、言わないつもりか?」


〈言わない。言えないよ……それに、この子が本当に静奈なのかも、分からない〉


わたしは肩をすくめた。


でも、たぶん、これは静奈だと思った。


見れば見るほど、静奈にしか見えなかった。


華奢な体のラインに、セミロングの明るい髪の毛。


右手に輝く、シルバーリング。


肩を落としたわたしを気遣うように、健ちゃんが両手を動かした。


「確かめてみないか?」


そう言った健ちゃんの目は、真剣そのものだった。


〈確かめるって、どうやって?〉