恋時雨~恋、ときどき、涙~

健ちゃんは、慌ててギアをパーキングに入れ直した。


「なに? どうした?」


〈見て欲しいのがある〉


きょとんとする健ちゃんから目を反らして、わたしはそのページを開いた。


やっぱり、その女の子の右手にはどこかで見掛けた事のある、デザインのリングが輝いている。


わたしは、ひとつ深呼吸をした。


〈相談の前に、約束して欲しいことがある〉


健ちゃんがこくりと頷いた。


「分かったんけ」


わたしは息を呑みながら、両手を動かした。


〈今から説明すること、絶対に、順也には言わないで〉


少ししてから、健ちゃんが頷いた。


健ちゃんは「約束」と唇を動かして、わたしに小指を差し出してきた。


わたしも、小指を絡めた。


〈これ、静奈かもしれない〉


雑誌を差すと、健ちゃんは目を細めて、一点だけをじっと見つめた。


見つめたというよりは、睨み付けているような感じの目だった。


「どういうこと?」


〈9月からずっと、静奈と連絡とれてない〉


「9月から?」


〈どこに居るのか、何をしているのか分からなくて、困ってた〉


健ちゃんは、驚きを隠せない様子だった。