恋時雨~恋、ときどき、涙~

暗い車内で、健ちゃんが真剣な目をした。


「何か、悩んでるなら言ってな。じゃないと、力になりたくてもなれねんけな。おれは、真央の彼氏だんけ」


わたし、何をしているんだろう。


健ちゃんに、こんな顔をさせるために付き合ってるわけじゃないのに。


さっき、亘さんに言ったばかりなのに。


健ちゃんのことが好きだって。


本気だって。


健ちゃんが無理をして笑っているのが分かった。


「おれ、真央のこと信じてるんけな。何があっても、味方だんけ。だから」


と言いかけて、健ちゃんは唇を噛んだ。


そして、もう一度、「信じてる」と手話をした。


信じてる。


わたしはハッとした。


つい最近、順也と約束したばかりじゃないか。


何があっても、健ちゃんを信じる、と。


付き合うということは、そういう事なんだ、と。


「帰るべ」


そう言って、健ちゃんはパーキングからドライブにギアを入れた。


わたしは、その手を軽く掴んだ。


〈待って。相談したいことがある〉