恋時雨~恋、ときどき、涙~

健ちゃんに言ったら何かのきっかけで、順也に伝わってしまうかもしれない。


それだけは、何がなんでも避けたい。


順也にだけは知られたくない。


考えていたら訳が分からなくなって、疲れてしまった。


わたしは横目で健ちゃんを覗いたとたんに、飛び付いていた。


健ちゃんが、雑誌を捲って見ていたからだ。


わたしの飛び付いた勢いが凄かったのか、健ちゃんは驚いた顔をして、ウインドウに頭をぶつけてしまった。


健ちゃんが頭を抱えながら、何かを叫んだらしい。


たぶん、痛い、と言ったのだと思う。


でも、わたしはそれどころではなかった。


冷静ではいられなかった。


健ちゃんから、雑誌をひったくった。


もし、健ちゃんがあのページを見て、右手にリングをしている女の子を見付けてしまったら。


何かに気付いてしまったら。


わたしは、健ちゃんに背を向けて、胸に雑誌を抱き締めた。


こんなもの、短大のゴミ箱に捨ててくればよかった。


どうして、持って来てしまったのだろう。


健ちゃんに肩を叩かれて、わたしは恐る恐る振り向いた。