恋時雨~恋、ときどき、涙~

〈訳して〉


「オッケー」


健ちゃんは得意気に、背もたれに寄りかかった。


最近、健ちゃんは本当に手話が上達した。


まだまだ、へたくそだけど。


〈謝らないでください。亘さんの気持ち、分かるから。わたしこそ、ごめんなさい〉


わたしの手話を訳した健ちゃんを見て、亘さんは肩をすくめた。


「本当に、ごめん」


〈でも、わたしは本気です。健ちゃんが好きです。例え、果江さんが帰って来ても、譲れません〉


わたしの手話を見て、健ちゃんが顔を赤くした。


勿論、わたしも恥ずかしくてたまらなかった。


でも、ストレートに伝えないと、わたしの気持ちは理解してもらえないと思ったから。


「照れるんけ」


と頭を掻く健ちゃんを、わたしは軽く睨んだ。


〈照れてないで、早く訳して。わたしだって、恥ずかしい〉


「分かってるんけ」


亘さんは、健ちゃんの言葉に頷きながら、わたしに微笑んだ。


「果江に伝えておくよ。ちょっと、言いにくいけど。ふたりが本気なの、知ったから」


〈ありがとう〉


それから、わたしの新しいラインIDを教えて、他愛もない会話をした。