恋時雨~恋、ときどき、涙~

その日の夕方。


17時すぎ。


わたしは、地元のファミリーレストランの窓際の席に座っていた。


テーブルを挟んで向かいには男がふたり、神妙な面持ちで座っていた。


講義が終わり電車に揺られていた時、健ちゃんからメールが入った。


仕事が早く終わったから、これからちょっと会えないかという内容だった。


正直、健ちゃんに会えるほど浮き足立った気分ではなかった。


ひとりになって、いろいろ考えたかったのが本音だ。


でも、会うことにした。


亘さんが、わたしに話したい事があるというのだ。


健ちゃんの隣に座っていた亘さんが、わたしに向かってゆっくりと唇を動かした。


「本当に、ごめん。ひどい事を言って、傷付けて、ごめん」


わたしはびっくりした。


まさか、謝られるとは夢にも思っていなかったからだ。


健ちゃんと別れてくれ、そう言われるものだとばかり思っていたのだ。


「健ちゃんに言われたよ、はっきりね。果江は過去だって。おれ、ひどいよね。自分の勝手な考えだけで動いて」


わたしは、慌てて首を振った。


アイスコーヒーにストローを3本も挿して、子供のような悪戯をして飲む健ちゃんに、手話をした。