恋時雨~恋、ときどき、涙~

やっぱり、好きだ。


そう自覚すると、もうきりがなかった。


でも、何から、どこまで、どうやって伝えたらいいのか、わたしには分からない。


「よう、真央」


健ちゃんの強い瞳は、真っ直ぐにわたしを見ていた。


「ちょっと会わないうちに、また小さくなったな」


わははははと健ちゃんの口が開くと、八重歯がこぼれた。


わたしの身体が、急激に熱を上げていた。


「真央にラインしても無視されるんけ。順也に、短大の場所、教えてもらった」


アドレスを教えないとは、生意気な女だんけ、と健ちゃんは偉そうに胸を張った。


わたしが睨むと、健ちゃんは吹き出した。


「ぶさいくな顔だんけ」


げらげらと楽しそうに笑う健ちゃんを、わたしは鞄で殴った。


「やめろ。相変わらず、狂暴な女だんけ」


余計なお世話だ。


わたしはあっかんべーをして、健ちゃんを睨んだ。


「生意気だんけ」


でも、健ちゃんが全く気にしているはなく、あっけらかんと笑っている。


「さ、行くぞ」


突然、わたしの腕を引っ張って、健ちゃんが助手席のドアを開けた。