恋時雨~恋、ときどき、涙~

わたしは、はなはだ面白くなかった。


午前中いっぱい、菜摘の態度があからさまによそよそしくて、嫌だった。


その日、幸がやって来たのは、もう4時限目が終わりそうな時だった。


幸はわたしの右隣に座るや否や、満開の笑顔で両手を動かした。


「楽しくて、ついつい長話になってもうたわ」


ここ1週間ほど、幸の彼氏の容態が絶好調ならしいのだ。


それは、わたしと菜摘にとっても、嬉しい事だった。


その講義中、わたしは不快な視線を斜め前から感じていた。


今日だけじゃない。


最近は、よくこういう事がある。


栄養士という、料理に携わる講義なだけあって、このクラスはほとんどが女子だ。


でも、男子もいる。


60人中、男子はたったの6人だけれど。


だから、男子はいつも6人ひと塊になって、同じ窓辺の席を占領している。


その中の2人がこそこそと耳打ちをしながら、わたしたちの方を見てきたのだ。


何だろうか。