恋時雨~恋、ときどき、涙~

「飲め」


とライオン丸の唇が動き、わたしはとっさに首を振った。


眩しかった。


ライオン丸は、とても楽しそうに生き生きとした目をしていた。


こういうきらきらした目で見つめられたのは、生まれて初めてだった。


ライオン丸から目を反らし、わたしは静奈の肩を叩いた。


振り向いた静奈は首を傾げて、右手の人差し指を左右に振った。


「どうしたの?」


〈少し、疲れた。車で待ってるね〉


「大丈夫?」


わたしは頷いて、駆け足で車に戻った。


車に乗り込む。


助手席のシートを全開に倒して、わたしは瞼を閉じた。