恋時雨~恋、ときどき、涙~

おじさんが、気持ちの支えになればと思い、その話を持ってきたのがきっかけだった。


スポーツ用の車椅子はどうにも馴れないらしく、順也は悪戦苦闘の毎日だ。


でも、元々、運動神経抜群の順也は、呑み込みが早い。


少しずつ、前向きに頑張り始めた。


そのバスケットボールチームの人たちは、ざっくばらんで明るく、きさくな人たちばかりだった。


わたしが見学に行くと、ジュースやお菓子を持ってきて、大きな口で話し掛けてくれるような、いい人たちばかりだ。


だからなのだろう。


順也に、以前のような笑顔が戻り始めていた。


バスケットボールの練習の迎えは、いつしか、わたしの大切な日課になっていた。


町のトレーニングセンターに迎えに行くと、大粒の汗を流しながら、順也は楽しそうに車椅子を走らせていた。


黄色のベストを着た順也は、輝いて見える。


季節は、切ない色の秋になろうとしていた。


練習の帰り道には、きれいな河川敷がある。


河川敷の終わりにはコスモス畑があって、その手前に来た時、順也が車椅子を停めた。