恋時雨~恋、ときどき、涙~

わたしの涙腺上に真っ直ぐ張っていた細い糸が、突然、切れてしまった。


わたしは、あふれる涙を止めることができなかった。


順也が、わたしの頭を優しく撫で続けてくれた。


でも、しばらくしないうちにわたしの肩を叩いて、ドアの方を指差した。


振り向くと同時に、わたしの心臓は停止したような衝撃を受けていた。


お見舞いに来たのだろう。


デザートを詰め込んだコンビニの袋を持った健ちゃんが、病室に入ってきたからだ。


なんて最悪なタイミングなのだろうか。


「よう。真央も来て」


わたしは露骨に目を反らし、健ちゃんに背を向けた。


「真央?」


順也が不思議そうな顔で、わたしの顔を覗き込んだ。


「どうしたの?」


わたしは、何度も首を振った。


〈会いたくなかったのに〉


わたしの手話を見て、順也が目を丸くした。


背後に、健ちゃんの気配を感じる。