恋時雨~恋、ときどき、涙~

アイスティーの氷が、琥珀色の美しい宝石のように輝いて見えた。


でも、次の言葉を読んだ時、わたしの心に重い扉が現れて、何かに閉ざされてしまった。


「でも、果江が帰って来たら……健ちゃんは、果江を選ぶよ」


たぶん、わたしは泣きたかったのだ。


目頭が、じんわりと熱くなった。


でも、ここは、わたしの泣き場所じゃない。


我慢した。


わたしが飲み込んだ唾は、海水のように塩辛かった。


舌が、ひりひりした。


わたしは、息を飲んでから、ボールペンを握った。


【分かりました】


わたしは、今日まで、話せない分だけたくさんの気持ちをこの手で書いてきた。


でも、今日ほど、字を書くのが大変だと思った事はなかった。



【けんちゃんとは、もう、会いません】


軽いはずのボールペンが、ひどく重たく感じた。


【会わない
 だから、1つだけお願いがあります】


メモ帳を差し出すと、亘さんは真剣な目をして頷いてくれた。