恋時雨~恋、ときどき、涙~

わたしは、唇を噛んだ。


まさか、友達でいることも駄目だと言われるとは、思ってもいなかったのだ。


わたしの心が、深い谷底に突き落とされたような気がした。


この短期間の間に、それくらい、わたしの中で健ちゃんの存在が大きく膨らんでいたのだ。


【どうして?】


わたしはメモ帳を滑らせて、亘さんの目を見つめた。


亘さんは、ふと目を反らして黙り込んでしまった。


しばらくして、亘さんは小さな口でぽつりぽつりと何かを言ったようだった。


その微妙な唇の動きを、わたしは読み取ることができなかった。


困った顔で首を傾げていると、今度は亘さんがメモ帳にボールを走らせた。


その文章を見た時、時間が止まったような気がした。


【健ちゃんの中で
 確実に
 真央ちゃんの存在が大きくなっているから】


手が震えていることに気付いたのは、メモ帳を手にした時だった。


「昨日、健ちゃんに会ったんだ。このエアメールを見せようと思って」


そう言って、亘さんはエアメールを手にとった。


「でも、見せられなかった。おれが思っていた以上に、健ちゃんが、きみの事を真剣に考えていたから」