恋時雨~恋、ときどき、涙~

わたしは、笑ってしまった。


重苦しかった空気が、少しだけ、和らいだ。


でも、空気はすぐに重たくなる。


果江さんは、本当に帰って来るらしい。


このエアメールが届いた翌々日、アメリカから一本の国際電話があったのだ。


それは、果江さんの両親からで、ウィークリーマンションを探して欲しいという内容だったらしいのだ。


できるだけ、医療設備が最先端の大学病院の近くに。


できるだけ、亘さんの家から近いところで。


果江さんが、帰って来る。


亘さんが、わたしの手の甲を優しく叩いた。


「最近、毎週末、健ちゃんと会ってるんだってね」


わたしが頷くと、一呼吸おいてから亘さんが言った。


「最後にひとつだけ、お願いがあるんだ」


わたしは頷いた。


「できるだけ、果江には精神的な負担をかけさせたくない。だから、今すぐにとは言わない。健ちゃんと、距離を置いてくれないかな」


わたしは、すぐに頷くことができなかった。


【なぜ?
 友達でいることもダメだと?】


メモ帳を見た亘さんは、苦しそうに頷いた。


「ごめんね。そうして欲しい」