恋時雨~恋、ときどき、涙~

メモ帳を見た後、亘さんは目を丸くして、わたしを見つめていた。


「分かったって、何を?」


わたしは少し痛む胸を押さえながら、ボールペンを走らせた。


【わたしが亘さんなら
 きっと 同じことをします】



昔のふたりを知ったからこそ、わたしが亘さんの立場なら、同じことをすると思う。


亘さんは顔を歪めて、わたしに頭を下げた。


「おれ、本当にひどいやつだね。アンパンマンでいったら、バイキンマンだ」


悪役、とでも言いたいのだろうか。


わたしは、メモ帳にボールペンを走らせた。


【バイキンマン
 そんなにひどい性格なの?】


「あ……観たことないの?」


【テレビ
 あまりみない
 音がきこえないから】


メモ帳を見た亘さんが、あっと口をつぐんだ。


困った、とでも言いたげに、亘さんは頭を掻いた。


「そっか。そうだよね。ごめん」


わたしが首を振ると、亘さんは苦笑いをした。


「バイキンマンは、おれより遥かにいいやつだよ」