恋時雨~恋、ときどき、涙~

「幼馴染みって、特別だと思わない?」


亘さんは、やわらかい微笑みで続けた。


「家族ではないし、恋人でもない。でも、お互いをいちばん理解できる部分がある」


わたしの頭の中の巨大スクリーンに、順也の笑顔が浮かんだ。


わたしは、頷いた。


【それは、すごく分かります】


亘さんが微笑んだ。


でも、都合悪そうに唇を動かした。


「例えば、だよ。真央ちゃんが、おれで。順也が、果江だとしたら」


亘さんの唇を読んだわたしは、ハッとした。


心の中で汚い渦を巻いていた、亘さんへの嫌悪感が、雨上がりの青空のように一気に晴れて行った。


「確かに、健ちゃんは、きみに惹かれているのかもしれない。でもね」


亘さんの話を途中で止めて、わたしは首を振ってメモ帳に書いた。


【分かりました
 だから、もういい
 亘さんの気持ち、よく分かります】



わたしは、無理やり微笑んでみせた。


でも、本当は、これっぽっちも笑いたくなんてなかった。


頬の筋肉がつってしまいそうだ。