恋時雨~恋、ときどき、涙~

わたしは、テーブルの上に放置されたままの写真を、然り気無く見つめた。


その写真を見るだけでも、切ないほどに伝わってくる。


2人が、どれほど、お互いを想い合っていたのか。


お父さん、お母さん。


順也、静奈。


教室で共に手話を学んだ、みんな。


わたしは、これまで、たくさんの笑顔を見てきたはずだ。


でも、こんな笑顔は初めて見た。


幸せな瞬間にしか存在しない笑顔が、この世界にあることを、わたしは知った。


健ちゃんは、わたしに微笑みかけてくれる。


でも、この写真のような笑顔の健ちゃんは、わたしの目に映ったことがない。


亘さんが、遠慮がちにわたしの肩を叩いた。


「真央ちゃんと、順也も、幼馴染みだよね」


わたしは、しっかりと頷いた。


「それなら、おれの気持ち、分かってもらえるよね」


わたしは、メモ帳にボールペンを走らせた。


【どういう意味ですか?】