恋時雨~恋、ときどき、涙~

長いエアメールを読んだ後しばらく、わたしは顔を上げることができなかった。


頭が重たくて、胸は張り裂けそうにいっぱいで苦しい。


亘さんが、わたしの肩を叩いた。


「おれは、真央ちゃんという人間を、まだよく分からない。きみも、おれのこと、よく分からないだろう?」


わたしは頷きながら、亘さんの唇を読み続けた。


「でも、果江のことは、小さい頃からよく分かる。幼馴染みだから」


わたしは、頷いた。


「失礼な事を言うから、先に謝っておくよ。ごめんね」


昨日、今日、知り合ったばかりの女の子に、親友を渡すことはできない。


耳が聴こえないから、なおさら。


果江の本心を知ったから、ますます。


亘さんは、そう言った。


「真央ちゃんは、知らなくて当然だけど」


もう、その唇を読みたくはないのに、それでも、わたしは目を反らす事をしなかった。


悔しいからだ。


ああ、鼻が伸びる。


でもわたしは、我慢した。


「健ちゃんと果江は、本当に愛しあっていたよ。とてつもなく、ね」