恋時雨~恋、ときどき、涙~

背が高くて、美味しそうなキャラメル色の髪の毛で、襟足の長い髪型をしている。


わたしは口元を手で押さえた。


思わず、笑ってしまいそうになったからだ。


ライオンみたいな人だ。


一目見て、そう思わずにはいられなかった。


ライオン丸。


無防備な笑顔になった時、ライオン丸の口元に鋭い八重歯が光った。


笑顔が無防備ならば、格好も無防備だ。


頭に白いタオルを巻き、上下ぶかぶかのスウェットに、足元は裸足だ。


近くに水色のビーチサンダルが散乱している。


いかにもヤンチャな感じが、全面的にあふれている。


正直、印象はあまり良いとは言えなかった。


でも、いちばん強い印象を受けたのは事実だ。


何も考えていなそうで、脳ミソも軽そうな人だと思えた。


こうばしい香りが鼻を突く。


白い紙皿に山盛りの焼きそばを、しおりさんが差し出してきた。