恋時雨~恋、ときどき、涙~

ふんわりとゆるく巻かれたピンクブラウン色の長い髪の毛が、とても印象的だった。


「さとう、わたる、さん」


わたしが会釈をすると、わたるさんも会釈を返してくれた。


順也が勤めているガソリンスタンドの常連客で、私生活でも仲良しなのだという。


物静かそうで、取っ付きにくそうな青年に見える。


おしゃれな黒ぶち眼鏡。


深緑色のTシャツ。


少しゆったりとしたデザインのジーンズ。


白い、アディダスのスニーカー。


取っ付きにくそうだけれど、爽やかな格好をしている。


髪の毛は黒く短く、清潔感が滲み出ていて、印象は悪いわけではない。


高校の頃は野球部だったそうだ。


確かに、広い肩幅をしている。


順也が、わたしの肩を叩き、その人を指差した。


「にしの、けんた、さん」