恋時雨~恋、ときどき、涙~

でも、早口だったので、わたしにはよく分からなかった。


何も答えないわたしを、変に思ったのだろう。


男の子は不思議そうな顔をして、白うさぎを抱いたまま去ってしまった。


健ちゃんが、わたしの肩を叩いた。


「ママに見せたいから、かりてもいいかって、言ってた」


わたしは、たまらず肩をすくめた。


男の子の質問に答えてやれなかった事を、悔やんだ。


きっと、あの男の子は、無視されてしまったと思ったに違いない。


悲しくなった。


悔しかった。


頭を下げてうつ向いていると、健ちゃんがわたしの背中を叩いた。


「気にするな。それより、腹減ったんけ」


わたしたちは、園内にある公園のような憩いの広場で、昼食をとることにした。


緑が豊かな広場には小さな池があって、木で作られたテーブルと椅子がたくさんあった。


ちょうどお昼時で、日曜日ということもあってなのか、家族連れがほとんどだ。


わたしがお弁当を広げると、健ちゃんはいちばん最初に卵焼きに箸を伸ばした。


「けっこう、できるじゃん。うまい」