恋時雨~恋、ときどき、涙~

「幸せになるなら、その時は、真央と一緒がいい」


笑おうとしたけれど、やっぱり、涙がこぼれてしまう。


いろんな事が、あった。


ここにたどり着くまで、たくさんの優しさに触れ、そのぬくもりに時に苦しんで、そして、涙を流した。


たくさんの人と衝突して、たくさん後悔をして、だけど、それ以上に支えてもらった。


たくさん笑って、たくさん泣いた。


その度に、雨が降っていた。


雨が、降り注いでいた。


「迎えに来た。真央を、迎えに来た」


ふうわ、ふわ。


たんぽぽの綿毛のような雨の中、健ちゃんが翼を羽ばたかせるように、大きく両腕を広げた。


待ちくたびれた。


わたしは、両手を広げる健ちゃんの胸に飛び込んだ。


大きな腕が、わたしを抱きすくめながら持ち上げる。


わあっ。


びっくりして見下ろすと、健ちゃんが大きな口で言う。


「真央は、おれの、一等賞だ!」


はらり、はらり。


右へ、左へ。


ひらり、ひらり。


最後はくるりと一回転して。


2枚のメッセージカードが、雨に濡れたアスファルトの上で重なり合う。