恋時雨~恋、ときどき、涙~

そして、静奈が繋いでくれた。


ひまわりの髪飾り。


ねえ、健ちゃん。


〈運命ってきっと、繋がっているものなんだよ〉


順也がそう言っていたもの。


運命は繋がっているものだって。


〈これ、違うの?〉


わたしが聞くと、健ちゃんは瞬きもせずに首を傾げた。


〈あなたは〉


健ちゃんを指さす。


〈違うの?〉


わたしは、耳の短いうさぎです。


〈あなたは、よわむしのライオンさんではないの?〉


突然、健ちゃんが目を吊り上げて、わたしからメッセージカードをひったくるように奪った。


《違う!》


健ちゃんの手の中でメッセージカードが握り潰される。


《もう、いい加減にしてくれ! 一体、何だよ! こんなもの……こんなもの》


怒鳴り散らすように手話をして、健ちゃんが凄まじい勢いで立ち上がった。


《何をしに来たんだよ! おれを、またどん底に突き落としに、か?》


〈違う!〉


《じゃあ、何をしに? これ以上、ほじくり返すなよ! もう疲れたって、言っただろ?》


もう、おれに関わるな、と健ちゃんはメッセージカードを握り潰したまま、わたしに背を向けて踵を返した。


何よ。


わたしだって、もう、ほとほと疲れたの。


わたしはメッセージカードを奪い返そうと、健ちゃんの背中に飛びかかった。


飛びかかったわたしを、健ちゃんが腕で突き飛ばす。


再び、三度、とわたしは何度も噛み付くように飛びかかって行った。


健ちゃんも負けまいと、全力でわたしを振り落そうと腕を振り回した。


次の瞬間、大きな波が押し寄せて来て、わたしたちは取っ組み合いの体勢のまま波に押されて砂浜に打ち上げられた。


海水が鼻に入ってつーんと痛い。


わたしは咳き込みながら目を開けて、そして、息を飲んだ。


わたしの体はまるで毛布にくるまれるように、健ちゃんの腕の中にあった。


波にのまれてしまわないように、健ちゃんがかばってくれたに違いなかった。