恋時雨~恋、ときどき、涙~

――違うんけな! 勘違いするな! 別に追いかけて来たわけじゃねんけ!


――引き止める気もねんけ!


――真央が居ない空間は、息が詰まるんけ


――音のない世界は、どんな感じ?


――そっか。そんなきれいな世界に、真央は生きてんのかあ


――おれは、真央のこと、絶対に忘れたりしねんけ


――そんな簡単に忘れる事ができるような恋だったら、おれは始めから、真央を好きになってねんけな


――行けって。早く行け


わたしたちに何かある時は、決まったように、雨が降った。


わたしたちの恋は、いつだって優しい雨に濡れていた。



おれが真央を苦しめていたんだな。


許してな。


悩ませて悪かった。


さよなら。


元気で。


最後にこれだけは信じてほしい。


本当に真央のことが好きだんけな。


幸せになれ、真央。






水面に打ち付けるトパーズ色の雫が、ひとつひとつを思い出させる。


あれも、これも。


あの日も、あの時も。


いろんな事があった。


いろんな事が、ありすぎた。


今、思い返すと、わたしたちはたくさんの出来事を共に越えて来たはずなのに。



幸せになれ、真央。



どうして、あの時だけは、一緒に越えられなかったのだろう。


西の空が開けるように、明るく輝き始めていた。


叩くように降り続いていた土砂降りの雨が次第に勢力を失い弱まって、次第に上空が明るさを取り戻していった。