恋時雨~恋、ときどき、涙~

それに、健ちゃんからのラインを読むとわくわくして、子うさぎたちは踊り出すのだった。


これから、何か楽しい出来事があるんじゃないかと。


順也が、わたしの手の甲を叩いた。


「知らなかったよ。真央が、健太さんと、ラインする仲だったなんて」


順也が言うと、静奈が得意気な顔で続けた。


「だから、怪しいって言ってるでしょ」


わたしは慌てて、順也と静奈の間に割って入った。


〈順也も、静奈も、勘違いしてる。そんなんじゃないから〉


どうやら、わたしは真っ赤な顔をしているらしい。


静奈がこっそり「真っ赤」と言って、わたしの顔を指差した。


順也が眉毛を八の字にさせた。


そして、何かを呟いたようだった。


その横で静奈が大きな口を開けて笑っている。


〈何て言ったの?〉


わたしが訊くと、順也は慌てて「言うな」と言ったけれど、それを無視して静奈が手話をした。


「真央をとられるみたいで、悔しいって。嫁に出す父親の気持ちが、分かるような気がするって」


わたしは、順也を見つめた。