長屋に着くと、紫は引き戸を開けた。 「…ただいま」 まだ明るい時間帯にも関わらず、心なしか部屋が暗く思えた。 「お父さん?」 いるはずの父からの返答が、ない。 母も、まだ畑から戻っていないようだった。 部屋はしんと静まり返り、四人の白い息だけが狭い部屋を行き交う。