「きゃっ」 どんっ、と体が何かにぶつかった。 「うわっ、すいませ…あれ、兄さん?」 紫が顔を押さえたまま、ゆっくり目を上げると、正面に市哉が立っていた。 紫の肩を両手で支えて、目線は兄の和哉の方を向いている。 「市哉、お前、どこに行ってたんだ。探したんだぞ」 「本を買いに行くって、雪乃さんには言ったよ」 「嘘つけ。雪乃も知らないって言ってたぞ」 市哉は、あれぇおかしいな、と呟きながら目線を下にやった。 そして、ぶつかった相手が紫だと気づくと、驚いた顔をした。