裏には、数年前に親の跡を継いだ川端兄弟の住まいがある。 医院に隣接した大きな洋館は、町の住人の憧れの的だった。 その玄関のベルを押すのは、紫も初めてだ。 「…これを押せばいいのよね…?」 「…たぶん…」 おそるおそる、ベルを押す。 キンコーン と、軽い音色が響いた。