「だけど、僕だってたまには縁日にも来たいさ。医者の家に生まれたせいでロクに遊べないんじゃ、あんまりじゃないか」



「だったらせめて、和哉さんに言ってから来るべきだわ」



紫がもっともなことを言うと、市哉は、



「…それもそうか」



と言って頭を掻いた。



その仕草がいかにも「弟」らしくて、紫は思わず吹き出してしまった。



「な、なんだよ、反省してるのに」



「あはは、ごめんなさい。あんまり素直だったから、つい」



「ひどいな」



と言いながらも、市哉も声を上げて笑った。