ぜんそく持ちの少年は、まだヒヨコに夢中だ。 市哉は少年の後ろにそっと近づくと、その坊主頭を軽くこつんと突いた。 少年は右手で頭を押さえて、くるりと振り向いた。 市哉はもう、歩き出している。 「あ!せんせい!」 元気な声に、市哉は笑いながら、 「あとで、診療所でな!」 と手を振った。