「毎年、縁日の夜になると発作を起こして、お母さんにおぶられて診療所に駆け込んで来る」 「…そうなの」 こうして見ている分には、とても元気そうだ。 「きっと、あんなふうにしゃがんで砂ぼこりを吸い込んでるせいだな」 市哉はそう言うと、 「こりゃあ、今夜も来るぞ」 と笑って、再び歩き出した。