紫は、片手に紙にくるまれた風鈴をぶら下げて、市哉の隣を歩いた。 すれ違う人々が、 「市哉先生、こんばんは」 「御機嫌よう」 と口々に市哉に挨拶をする。 市哉は、その度に 「こんばんは。賑やかだね」 と、にこやかに笑顔を振りまいていた。