どうやらこの主人は、客がお金を持っているかどうか、見分けるのがうまいようだ。



紫のほうには見向きもしないで、市哉にばかり愛想笑いを向けている。



紫は呆れてしまって、横目で主人を見ただけで、返事をしなかった。



そして風鈴に目を戻すと、



「それも綺麗だけど、私、これがいいわ」



と言って、市哉に見せた。



それは、透明なガラスに金魚の絵が描かれた風鈴だった。