「いらっしゃい!」 主人が、威勢よく紫に声をかけた。 今作っている飴は、竜だろうか。 長細くうねっていて、今にも天に向かって昇って行きそうだ。 「こんにちは。とても綺麗ね」 「ひとつ、どう?味もいいよ!」 「まだ来たばかりだから、あとで寄るわ」 お決まりの断り文句を言って、また歩き出す。 紫は、ゆっくりと参道を歩いて、ひとつひとつの屋台を見て回った。