開け放した玄関の向こうから、子供たちの笑い声が聞こえた。
振り向くと、三人の少年が浴衣に身を包んで、長屋の前の路地を駆け抜けていった。
土ぼこりが彼らの後を追っていく。
ふと壁掛け時計を見る。
古い時計の針は、もうすぐ夕方の五時を指すところだった。
「もうそんな時間…」
紫は、玄関からすぐの小さな部屋で、取り込んだばかりの洗濯物をたたんでいた。
彼女もまた、浴衣を着ている。
普段の着物よりも、軽くていい。
やはり縁日には、浴衣でないと―
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