「幸子、ほら、おじさんがくれたわよ」



房子がビニール袋を見せても、幸子の機嫌は一向に良くならない。



「うれしくないもんっ」



と言って、人混みの中へ駆けて行ってしまった。



「あ!こら、幸子!」



房子は、紫に早口で、



「ごめん、あとでね!」



と言い残して、幸子を追いかけて行った。