「…部屋に戻ろうか」 「ええ、そうね」 間もなく主をなくそうとしている部屋が、妙によそよそしい空気で、紫と市哉を迎え入れた。 「こっちの引っ越しも、あと一息だな」 部屋を見回して、市哉が言う。 紫は、横に立って、黙って頷いた。 そして、身の引き締まる思いで、唇をきゅっと結んだ。