いつもどこからか聞こえていた風鈴の音は、もう聞こえない。 長屋の前の通りに、風鈴売りも虫売りも、もう来ない。 町は、やがて来る寒い季節を迎える準備を始めた。 この町に初雪が舞う頃、新しい生活にも慣れているだろうか。 夏の別れは、紫の心に失恋にも似た寂寥感を残した。 それでも、そのさみしさが埋められる日も、遠くはないだろう。 この人が一緒なら。