房子が市哉の肩の上に両手を広げると、幸子が、 「わぁい」 と、母の胸に飛び込んだ。 市哉は、重みのなくなった首や肩を手で揉みながら、幸子の頭を撫でている。 紫の赤面には気づいていないようだった。 「高知まで、紫ちゃんを連れて、必ず会いに行くよ」 と、市哉が房子に言った。 「待ってます。ね、幸子」 「うん!」 房子も幸子も、とてもうれしそうだった。