市哉はそんな紫を愛おしそうに眺めて、 「今決める必要はないよ。そもそも僕だって、今日は、また遊びに来て欲しいって言うつもりだったんだから」 と言った。 「だけど、房子ちゃんの話を聞いて、ああ今しかない、って思ってね」 市哉はそう言って、でも緊張したなぁ、と軽やかに笑った。 そしてふと、真顔になると、 「驚かせてごめんよ。でも、半端な気持ちで言ったんじゃないってこと、わかって欲しい」 と、胸がいっぱいで涙目になっている紫に、優しく言った。