それは、今までで、いちばん優しい声だった。



「市哉さん…」



今度は、紫が落ち着きをなくす番だった。



予想もしない展開に、深呼吸を繰り返した。



「あの、ありがとう…。市哉さんの気持ちはとってもうれしい」



「じゃあ―」



「―でもね、でも、突然すぎて驚いちゃって、どう返事をしたらいいか…」



紫は、市哉の突然の申し出に、動揺を隠せないでいた。