「…どうしたの?」 房子が突然黙ってしまい、そんなに悪いことを言ったつもりではなかっただけに、紫は戸惑った。 (毎年だなんて、押し付けがましかったかしら…) でもそれにしたって、哀しそうな房子の表情は、この縁日の活気にふさわしくない。 紫が怪訝な顔で房子の様子をうかがっていると、 「おかあさん、あたし、きんぎょすくいやりたい!」 と幸子が房子の浴衣の袖を引っ張った。