取り出した細い木の棒の先に、ビニールで覆われた飴がついていた。 「忘れるところだったよ」 「あ、べっこう飴…」 紫のほうこそ、すっかり忘れていた。 市哉は、 「あーあ、幸子ちゃんにあげればよかったな」 と言いながら、一本を早速口に入れ、もう一本を紫に渡した。 「ありがとう」