房子がけしかけた種が、本人が帰った今になって、ふたりの間に微妙な空気を生んでいた。 「…もうすぐ花火の時間、かな?」 「え、ええ…そうね」 どうも会話がぎこちない。 (もう、だから余計なこと言わないでって言ったのに!) 紫は心の中で、房子に愚痴をこぼした。