そんな二人のことなど気にもせず、幸子は屋台に夢中だ。 握った手が、熱気と興奮で汗ばんでいた。 それすらも、とても愛おしい。 まだ未婚の紫にとって、親友である房子の子供は姪っ子のような存在だった。 だから、 「毎年、一緒に花火を見ましょうね」 と言ったのも、特別な気持ちからではなくて、ただ当たり前の流れだった。 それなのに房子は、それを聞いて目を伏せてしまった。