「セリ。何も聞かないの?」


体育館で始業式を終わらせ、教室に入った私達は掃除に取り掛かる。


前を歩くセリの背中に話しかけた。



「ん?聞くって?」



振り返って私に首を傾げる。



「あいつの話。」



セリなら顔を合わせた瞬間去年みたいにすぐ聞いてくると思ったのに。



「あぁ…。うん。まぁね」


何の事か分かったセリ。


はにかんだ後、ゆっくりと歩き出す。



「聞きたいけど、比奈辛そうな顔するから。」



そのまま黙って掃除に取り掛かった。



辛そう……。


私、そんな顔してたんだ。


ふと頭にあのツーショットが浮かんだ。


あの人とはただのモデル仲間なのか


それとも恋人なの?


いまだ私には分からないまま。


聞くのが怖かった。


確信に触れる事が。