「雲雀、飯食いに行こう」
雲雀がおかしい。
なにが、と訊かれても正確には答えられないが、なにかがおかしい。
だからってわけではないが、ロビンが帰ってすぐ夕飯に誘ってみた次第である。
(結局、あいつが一体なにしにきたのかは解らなかったけど)
夕飯。
最近は雲雀から誘ってくれるようになっていて、そうじゃなければ真鶸が言い出す。
それが日常になっていたのに。
(…まあ、これで機嫌をとろうだなんて思ってないけど)
―――が。
「…雲雀?」
こちらに背中を向けたまま、雲雀はまともに返事すら返さない。
というか、反応すらしない。
おい、シカトか。
「雲雀?」
反応なし。
思わず真鶸を見やるが、真鶸は困ったように笑うだけ。
(え、なにその笑顔。どういう意味?)
真鶸はなにか勘づいているらしい。
「…ひばりさーん」
呼ぶがやはり、ソファに腰掛け洋書に目を落としたまま動かない。
全くこちらの声が聞こえていないような反応。
まるで倫子なんか存在していないような。
(…そりゃ、会った当初は無視ばっかでしたけどね、最近はさあ、そんなんなかったからさあ)
ちょっとそれなりに、心臓にクるものが、ある。
徹底して背中を向けられているため瞼が開いているのか開いてないのかもわからない。
あぁわかった、寝てるのね、寝てるわけね。
「おい、雲雀!」
バシーン!
無言の後頭部を叩く。
それを目撃した真鶸がひぃぃと鳴いた。
が、やっぱり動かない。
(オイコラ)
バシーン!
追撃。
別に、普段の恨みをこれ見よがしに晴らしてるわけじゃない。
「…ねぇ、あんた一体どうしたの」
終いには心配になって、縋るような声を出してしまった。
それでも反応は、ない。


